私たち大人が、大人になってみてわかったことは、誰でも自動的に大人になれるわけではない、ということではないでしょうか。
子どもの頃、「年をとれば誰でも“大人”になれるもの」だと思っていました。
大人になれば、気の利いたアートや音楽の話もできて、寿司屋での注文のしかたもわかる。
毎日のニュースで流れる為替や株の値動きが理解でき、不動産屋などとも価格の交渉ができる。
冠婚葬祭のマナーがわかっていて、正装の着こなしができる。
これらは、ただ年をとれば勝手に身につくものではなく、自ら学んで身につけなければ、いくつになっても身につかないもの。私がそのことを知ったのは大人になってからでした。
もしかしたら、今の子ども達も「大人になったら、アプリやゲームを作ったり、面白い動画や素敵な音楽をアップロードできるようになる」と考えているかもしれません。こういったクリエイティブな行為は、テクノロジーの発展のおかげで、私たちが子どもの頃より随分とハードルは下がりました。
しかし、いくらハードルが下がったとは言え、クリエイティブな能力は、学びと実践を繰り返した者だけが身につけられることであるということ。スマホやパソコンを持っているだけでは、身につけることはできないということを、子ども達にハッキリと伝えなければなりません。
子ども達は、すでにスマホやパソコンを使用し、インターネットの世界を飛び回っています。それでも、子ども達に「コンピュータで創る」機会を与えなければ、永遠に誰かが作った世界を飛び回るだけの大人になってしまうでしょう。
子ども達が大人になったら、自らの手で新たな世界を創造できる人間になれるよう、成長させることがこの教室の役目だと考えております。
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