学習指導要領の改訂により、2020年度から小学校でプログラミング学習が取り入れられ、中学校では2021年度からプログラミングに関する学習内容が大幅に増加しました。
また、高等学校では2022年度からプログラミングを含む「情報I」が新教科として設置され、国語、数学や英語と同様の必修教科とされることになります。
そして、2024年度(2025年1月)の大学入学共通テストから、プログラミングを含む「情報」の入試科目化が決定しました。2022年度の高校1年生の大学入試から実施されることになります。
つまり、従来の「国数英理社」の5教科に「情報」が加わり、大学入試は6教科になります。
国立大受験、共通テストにプログラミング…25年から「情報」追加で6教科8科目に(リンク:読売新聞)
大学入試センターが公表した「情報」のサンプル問題
【日本の大学に情報系学部が少ない理由】
日本の大学は、これまで情報系分野にあまり力を入れてきませんでした。なぜなら、情報系の学部や学科を設置したとしても、入試条件に「情報」教科を設定できないからです。
数学や英語で良い点数を取れれば、パソコンを触ったことのない学生でも入学できてしまう。入学してくる学生は、情報やITに関する知識は「ほぼ0」の状態。4年間でプログラミングをゼロから教えるようでは、高度なスキルを持つ人材に育てることは難しかったのです。
また、大学の経営陣は、ITやデジタルに疎い層が中心であり、情報系学部学科の必要性に関心を寄せてこなかったとも言えます。
大学側が情報系の学部に力を入れてこなかった理由は、こうした背景からでした。
【入試が変わると、大学が変わる。人気大学の動き】
しかし、2022年に高校で「情報I」という教科が生まれ必修科目となります。大学は2025年度募集から、入試での「情報」を必須にすることで「情報に関する基本知識やスキルを有した学生」を募集することが可能になります。
その結果、大学側は情報分野で、高い研究結果を出したり、企業の最前線で活躍する卒業生を排出することが出来るようになります。
また、「情報」の入試科目化に加え、デジタル庁の新設など、日本政府はITやデジタル化に本格的に乗り出しました。大学というところは、政府の動きを無視できない性質があります。今後は総合大学を中心に、大学経営陣は情報系学部の新設を検討し始めるでしょう。
少子化で受験生が年々減少する一方、ITやAI(人工知能)が発展する世の中で、情報分野に力を入れて強みにしていこうと考える大学は増えてくると予想されます。
「人気大学の多くが情報系分野に力を入れだす」
↓
「入試条件に『情報』を必須にする」
↓
「『情報』の受験科目としての重要性が増す」
という流れが生まれるのではないでしょうか。
【「情報」を受験勉強ではなく、遊びとして学ぶ】
私たちの教室は、大学入試に向けた内容ではありませんが、使用している教材は、ゲームやアニメ作りの中で、情報の教科書にも載るであろう「プログラミングの考え方」を自然に取り入れ、考えて作品を作るようにデザインされております。
プログラミングの処理は、次の3つに分類されます。
・順次処理:上から順にプログラムを実行していくこと
・分岐処理:条件によって、実行するプログラムが変わること
・反復処理:指定した回数、同じプログラムをくりかえすこと
子ども達は、この3つ処理の組合せを構築していくことで、キャラクターの動きや、場面の変更をPC上で行っています。
それも「勉強」としてではなく、「遊び感覚」でです。小学生の頃から、このような思考を使って創作活動を行っていることは、今後、「情報」を教科として学ぶ上で、大きなアドバンテージとなるでしょう。
【大学入試では暗記が通用しなくなる】
かつての入試は覚えた事をそのまま表現する。教科書に載っていることの再現性に重きが置かれていたので、努力(暗記やひたすら問題を解きまくる)をすれば、ある程度の成績が見込めるものでした。
しかし、学習指導要領改訂の影響で大学入試では少しずつ違う方向にシフトし始めています。教育改革が掲げる3能力は「思考力・判断力・表現力」。知識を身につけた上で、それをどのように使うのかということが問われます。これまで通り、覚えたことをそのまま表現する勉強を続けていても、評価されなくなってきています。
私たちの教室では、開校当初よりこういった流れを意識して指導を行って参りました。テキストに書いてあることができればOKではない。自分なりのアイデアをどのように作品の中に入れ込んで行くか。
新たに実施される大学入学共通テストでは、知識・技能を習得した上で、それをどのように役立てるのかを「自分で考え、判断し、表現すること」が求められます。そのような姿勢を身につけるのに、プログラミング教育は最適なコンテンツだと感じております。
子ども達の未来に、どんな知識や能力が求められる時代が待っているのか。
いずれにせよ、自らの意志と考えで行動できる人間に育てること、そのような学びが出来る環境を、今ここに整えることが、今日の大人の使命だと思っております。
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