授業の中では子ども達と、プログラミングとは関係のない、たわいもないやり取りは多いのですが、たまに驚かされることあがります。以前、こんなやりとりがありました。
「先生、オレ、気づいたんですよ」
「何に?」
そう聞くと、彼は変顔をし、その後、こんなことを言いました。
「こんな余計なことをしているうちでも、オレの寿命は縮んでるんですよ」
「だから、1秒1秒大切にしなきゃならないんですよ」
生まれてから10年そこそこ。彼は小5にして人生に終わりがあることに気がついたのです。
今から10年くらい前のこと。
お世話になっている大企業のお偉いさんと、お酒の席で同席したときのことです。休日だったので、その会は誰もがカジュアルな服装で参加していました。平日はスーツの大企業のお偉いさんも、Tシャツにジーンズといったラフな装い。ですが、いつもと違うところがもう一つ。普段のイメージからは想像できないアクセサリー。髑髏(ドクロ)の指輪をしていたのです。
「ヘビメタとか好きなのか、意外だな」
と思ってついついじっと見てると、その視線に気づかれてしまいました。
「スカルのデザイン。どう思います?」
「いやー、カッコいいですよねー。ヘビメタとか好きなんですか?」
掘り下げ過ぎないように、あくまで場つなぎトーク。オッさんにこういうのを語らせると長いから。「あー、そうなんですかー」てな感じで話を終わらせるつもりでしたが、この後、興味深いお話を聞かせていただきました。
その方は「ヘビメタに見えますよねw」と笑った後、こんな話を始めました。
「善人だろうが悪人だろうが、金持ちでも貧乏でも、病院のベッドの上で死のうが、山の中で野タレ死のうが。誰でも、最期は同じ。コレになるんですよ」そう言ってドクロの指輪を私に見せてくれました。
結局、誰でも最期は骨。そうなるまでに時間を、人生をどう使うか。どう生きるか。そのことを忘れないためにドクロのデザインを身につけている。そんな話をしてくださいました。
ドクロは「毒」や「死」を連想させるモチーフではありますが、仏教では「無常」つまり、永遠に不滅のものはないという真理の象徴とされていること。人生を無駄にすることなく、意味のある生き方すること。時間を大切にすることを忘れないように、身につけているとのことでした。
最近では、週単位で自分が死ぬまでの期間を可視化してくれるwebサービスも作られています。その名も「How many weeks until you die?」。
サイトにアクセスしたら、自分の生年月日を入れるだけ。それだけで、すでに生きた期間を赤で、これから生きる期間を緑で表してくれます。こんな感じです。
横に並ぶ52のブロックは、1年間の週の数(52週)。縦に並ぶ90は、90年というタームを示しています。横1行1年というわけです。52週×90回 = 人生は4680週間で終わるのです。
人生が有限であることを意識すれば、明日からの日々の過ごし方が変わるかも知れません。「夏休みはダラダラ過ごしちゃったな」って人は、ぜひアクセスしてみてください。
夏休みも終わりに近づいています。誰でも夏休みの終わりには、
「もう終わるのか…」
「有意義に過ごせたのだろうか」
「やり残したことは…」
こんな後悔、焦燥感のような気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。
私たちは、人生の終わりが近づいた時、夏休みが終わる時と、似たような気持ちになるのかも知れません。