親として、子の学校の成績が気になるのは当然のことです。しかし、学校の成績が良いだけでは、社会で成功を収めるためには十分ではありません。本当に必要なのは、困難を乗り越え、目標に向かって粘り強く挑戦し続ける力、「やり抜く力(GRIT)」です。
やりぬく力「GRIT」とは?
GRITとは、子どもの成長要素を研究した心理学者アンジェラ・ダックワース氏(ペンシルバニア大学)が発見した「人生において成功の鍵を握っている能力とは何か」という研究です。
中学教師であったダックワース氏は、教師として多くの生徒と関りを持つ中で、学業成績が良い生徒が社会的に成功するとは限らないこと、成績が低くても成功をおさめる生徒がいることに気が付きました。そこで、社会で成功をおさめている人の共通点について、専門的な調査と研究を行いました。その結果、成功のために必要な要素として、成績や知識、IQの高さだけでなく、下記のような挑戦を続ける精神的な強さが成功の鍵を握ることを突き止めました。
・Guts(ガッツ)
困難なことにも立ち向かう度胸
・Resilience(レジリエンス)
苦境にもめげずに立ち直る復元力
・Initiative(イニシアチブ)
自ら目標を見つけて取り組む自発性
・Tenacity(テナシティ)
最後までやり遂げる執念
この4つのやり抜くための能力は、その頭文字をとって「GRIT(グリット)」と名付けられました。GRITは生まれつきの才能ではなく、日々の試行錯誤や挑戦を通じて伸ばしていける力です。そして、この能力はプログラミングやイラストなどの創作的な学習によって伸ばすことが可能なのです。
数えきれない失敗を繰り返し、それを乗り越える。
プログラミングでの作品作りでは、エラーやバグが常に発生します。例えば、ゲームを作る過程で「キャラクターが動かない」というエラーは付き物です。こういった問題を解決するためには、何度もプログラムを書き直し、何度も作動させながら原因を調べ、何度も改善を試す必要があります。
イラストでは、「思った通りに描けない」といった壁に誰もが直面します。表情がイメージと異なり、何度も描き直す必要がある。それでも完成を目指して描き続けるうちに粘り強さが身につきます。
こういった何度もやり直すプロセスを繰り返すことで、失敗を学びに変え、問題解決に向けて粘り強く挑戦する姿勢が身につきます。
「根性との違い」
「GRITって、根性でしょ」と思もわれるかもしれません。根性は我慢し続けることですが、GRITは挑戦と改善をし続けること、行動し続けることです。挑戦は自分の実力よりも少し上のハードル、出来ないことに挑むことですので、失敗と隣り合わせです。その失敗を、避けるべきことではなく、学び・成長のための行動の引き金とすることがGRITなのです。 根性は、苦しさや困難を「耐えること」が目的化しがちです。大事なのは「我慢する」「頑張り続ける」ことそのものでなく、「目標を達成する」ために必要な行動を、ひたすらとり続けることです。
また、プログラミングもイラストも容易に自由制作課題を設定することが出来ます。「自分で考えてゲームを作る」「自分が考えたキャラクターを描く」といった自由制作に取り組むことで、自分のアイデアで創作する自発性、完成するまでやり遂げる執念といった作品に対する情熱を経験的に学ぶことができます。
プログラミングとイラストの学習は、試行錯誤を楽しむ環境を通じて、GRITの要素を自然に育てる教育活動です。これらを通じて、子どもたちは「困難を乗り越える力」と「自分で考え行動する力」を伸ばし、未来に向けた大きな自信を手に入れることができます。
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